医院選びで、口コミが読まれる理由
歯科医院やクリニックを探すとき、多くの人はGoogleマップで通いやすい場所の医院を探し、口コミを読んで比べます。「説明が丁寧か」「待ち時間は長くないか」「子どもを連れて行きやすいか」といった点は、実際に通った人の声が参考になるからです。
一方で、医療機関は、広告できる内容が医療法で細かく決められており、患者さんの健康に関する情報も扱います。口コミの扱いには、ほかの業種よりも慎重さが求められます。この記事では、歯科医院やクリニックが口コミと向き合うときに押さえておきたい考え方を解説します。以下は2026年9月時点の一般的な考え方をまとめたものです。個別の表現や運用が問題にならないかは、所管の保健所や専門家に確認してください。
医療広告のルールと口コミの関係
病院や診療所の広告は、医療法と、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」によって、広告できる内容が決められています。医院のホームページも広告の規制の対象で、治療の内容や効果についての患者さんの体験談を、医院の広告として掲載することは禁止されています。
Googleマップの口コミは、患者さんが自分の意思で投稿するものであり、それ自体が直ちに医院の広告になるわけではありません。ただし、次のような場合は注意が必要です。
- 医院が、口コミを自院のホームページやチラシ、SNSに転載する
- 医院が、治療の効果や満足度について書くよう、患者さんに求める
- 見返りを渡して投稿してもらったり、医院が用意した文章を投稿してもらったりする
医院が口コミを宣伝に使ったり、内容を指示したりすると、その口コミは医院の広告と受け取られ、体験談の掲載の禁止などのルールにかかわるおそれがあります。口コミは、Googleマップ上で患者さん自身の声として読んでもらうものと考えておくのが安全です。
口コミをお願いするときの考え方
口コミをお願いすること自体は、禁止されているわけではありません。ただし、医療機関では、次の点を特に意識しましょう。
- すべての患者さんに、同じようにお願いする
- 投稿の見返りとして、治療費の割引や物品などを渡さない
- 治療の効果や満足度など、書く内容を求めない
- 投稿するかどうかは、患者さんが自由に決められるようにする
お願いのタイミングは、治療が一区切りついたときや、定期検診のお会計のときなどが自然です。受付にQRコードを置いておけば、スタッフが毎回説明しなくても、すべての患者さんに同じように案内できます。
店舗向けの口コミ管理サービス「ComiSta(コミスタ)」では、患者さんがQRコードを読んで選択式の短いアンケートに答えると、回答をもとにした口コミの下書きが表示され、患者さん自身が確認・修正してから投稿します。医療機関で使う場合は、アンケートの設問を「受付の対応」「説明のわかりやすさ」「院内の清潔さ」「予約の取りやすさ」など、治療の効果に触れない内容にしておくことをおすすめします。
返信では、病状や治療内容に触れない
口コミへの返信は、誰でも読める場所に公開されます。病歴や治療の内容は、個人情報の中でも特に慎重な扱いが求められる情報です。患者さんが自分で口コミに書いていたとしても、医院の返信でそれを繰り返したり、詳しく触れたりすることは避けましょう。
たとえば、次のような返信は避けます。
- 「親知らずの抜歯の後、痛みが引いて安心しました」
- 「先日の根管治療では、長い時間お疲れさまでした」
代わりに、病状や治療内容、通院の事実に触れずに、お礼と医院の姿勢を伝えます。
- 「ご投稿いただき、ありがとうございます。わかりやすい説明を心がけておりますので、そのように感じていただけてうれしく思います。気になることがあれば、いつでもご相談ください。」
低評価の口コミにも、治療の経緯を返信で説明することは避けましょう。お詫びと改善の姿勢を伝えたうえで、詳しくは医院に直接ご連絡いただくよう案内します。返信の基本と例文は、関連コラム「Google口コミへの返信の書き方と例文」で紹介しています。
事実と異なる口コミや、不適切な口コミへの対応
医療機関にも、事実と異なる口コミや、他の患者さんやスタッフの個人情報を含む口コミが投稿されることがあります。Googleのポリシーに反する口コミは、Googleビジネスプロフィールの管理画面から報告できます。
返信で反論したくなる場面でも、患者さんの受診の事実や治療の内容を明かすことになるような説明は避けてください。対応に迷う場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。詳しくは関連コラム「悪い口コミへの対処法」で解説しています。
まとめ:ルールと患者さんの情報を守りながら、声を集める
歯科医院やクリニックにとってGoogleマップの口コミは、医院を探している人に、実際に通った人の声を届けられる場所です。口コミを医院の宣伝に使わない、効果を書くよう求めない、見返りを渡さない、返信で病状や治療内容に触れない、という点を守りながら、すべての患者さんに同じように投稿をお願いしましょう。
